鶴見川流域を洪水から守る恩廻公園調節池を見学しました。
10 月の台風19 号は、各地で甚大な被害をもたらしました。座間市内においては、過去例のない城山ダム放流が発令され、相模川氾濫への危険から避難所へ近隣住民約1,000人が避難し、不安な一夜を過ごしました。
神奈川県内で最も広域に浸水被害が発生した多摩川は様々な課題を残しましたが、鶴見川では浸水はありませんでした。もちろん上流部に降った雨の量も中小河川から量も違いますが、洪水対策として流域に複数の調整池が建設されていることが大きいのではないかと思われます。そこで、このうちの一つである川崎市麻生区と横浜市青葉区の区境にある県の治水施設「恩廻公園調節池」を12 月6 日に見学しました。
恩廻公園調節池は、町田市上小山田を源に、川崎市・横浜市を流れ東京湾へと注ぐ鶴見川の氾濫を防ぐため、洪水を一時的に貯留する施設です。1965 年頃から、急激な都市化が進み雨水は鶴見川に一気に流れ込み下流や低地部で氾濫が起きました。1981 年には、「鶴見川流域整備計画」により河道が整備され、1989年には「鶴見川新流域整備計画」が策定されて、豪雨により川の水位が上がった場合、一旦溜めておける調節池・遊水地などの施設が計画されました。恩廻公園調節池はその一つで、貯留容量約11 万m³ で(25m プール330 個分)旧河川敷の地下を利用した延長600 m、内径11.4 ~ 16.5m の巨大トンネルです。建設期間は1993 年から15 年、建設費163 億円で、その地上には調節池の管理棟等があります。
当日は乗用エレベーターで地下8 階に降り、2 枚扉の水密扉を抜けトンネル内を歩き説明を伺いました。これまでの最大流入としては、2008 年8 月29 日の豪雨で貯留容量の3 分の1にあたる3 万3 千m ³ が流入された水位が壁面に印されていました。管理棟は平常時3 人体制ですが、台風やゲリラ豪雨などの気象庁の警報等により随時増員で対応しているとのことでした。豪雨が毎年発生するといわれる現在、こうした施設の建設も必要であり、更に調査を進め制度提案していきます。