介護保険制度改悪への意見書採択ならず!!

介護職の離職者超過!!

 全国的に介護職の人材不足が続き、東京商工リサーチによれば、在宅の支援を行う訪問介護ヘルパーの2022年度の有効求人倍率は15.53、今年8月までの訪問介護事業所の倒産件数は44件、介護保険開始2000年以来の最多のことです。また厚労省の昨年の雇用動向調査では介護職は入職者よりも離職者が初めて上回りました。制度はあれどサービスなし、介護難民が出かねない状況です。

第9期改定 利用者負担が倍額に

 3年ごとに制度が見直しとなる介護保険、改定のたびに利用抑制がなされてきました。2024年4月の第9期介護保険制度改定では、要介護1・2認定者のサービスを給付サービスから外し自治体の地域支援事業である介護予防・日常生活支援総合事業に移すことや、ケアプラン(ケアマネージャーが作成する介護支援計画)の有料化=10割自己負担化等は第10期に見送りとなりました。しかし、利用料の利用者負担割合について現状90%が1割負担の中、2割負担の対象者を拡大する方向でした。

利用者の実情は?

介護保険のサービスを使うのは80代からが多く85歳以上では50%を占めており、80歳以上の世帯は収入すべてを年金のみに頼る世帯がほとんどす。介護サービスの2割負担は医療費の2割負担に比べて莫大な金額となることから、利用控えをすることによる重度化、また、家族介護が拡大し介護離職が増えることが予想されます

多様なサービスは広がらず

 また、厚労省は現在開催中の介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討会において、総合事業の従前相当サービス(=給付と同様のサービスだが低報酬)を減らし、より費用を抑えた住民参加の多様なサービスを増やしていく方向ですが、総合事業がスタートした2018年から5年経過してもなお、各自治体では多様なサービスの実施がすすんでいません総合事業の一つの基準緩和サービスにおいても介護事業所が差額を負担し有資格者が担っており、大手介護事業では介護報酬単価が安いため従前相当サービスさえも撤退している現状です。こうしたことから総合事業は要介護1・2の受け皿となりえません。そもそも、要介護1・2の利用者の多くは認知症を発症していることから、介護専門職による支援が必要なのです。

 ヘルパー不足は介護報酬のアップが必須ですが、これまでは原資を利用者負担としてきました。これ以上は難し、国費の割合を上げる必要があります。

 そこで、神奈川ネットワーク運動・座間市民ネットでは「介護保険制度のこれ以上の後退をさせないことを求める意見書」を議員提案で提出しました。項目は以下の3つです。

1. 利用者負担2割の対象者拡大を拙速に行わない。
2. 要介護1・2の生活援助や通所介護を給付から外し自治体の介護予防・日常生活支援総合事業に移行については、まずは全国的な利用者・介護事業者の実態調査を行う。
3. これ以上の利用者負担の増加を避け、介護報酬を引き上げ、介護サービスの充実を図るため、介護保険制度の国費負担割合を増やす。

厚労省は利用者負担2割の拡大見送るも意見書採択されず

利用料の2割対象者拡大について全国的な反対の署名活動などの世論を受けてか、議会採決前の昨年12月18日、厚労省は物価高による高齢者への影響を慎重に検討する必要があると今回の改定では見送ること発表しました。しかし、20日の議会採決では、自民党いさま、公明党、大志会等15人の反対により否決されました。

サービスが失われてよいのでしょうか?住み慣れた地域で安心して暮らしていくために、必要な介護サービスを利用できるよう市民の声を発信していきます。