在宅介護を支える介護保険サービスの維持継続にむけて制度の立て直しを! 市内実態調査による市議会への陳情が採択に!

コロナ化を除いて最大規模となり積極財政の不安もぬぐえない高市内閣による12月16日成立の補正予算では、物価高騰対策が盛り込まれ、医療・介護等支援パッケージが決定されました。2027年の介護報酬改定を待たずに、介護従事者への月1万円~1万9千円の半年分の賃上げ支援を行うとのこと。また基本報酬アップについても報道されましたが、詳細明らかにはなっていません。しかし、介護の現場では疲弊した状況が続いています。

訪問・通所介護事業所への実態調査を実施

介護保険制度が施行されて25年、利用者にとってはますます使いにくく、介護事業所にとっては基本報酬がほとんど上がらないことに起因する深刻な人材不足となっています。全産業平均の賞与込み給与に対し、介護職は月額8.3万円低く(2024年6月厚労省調査)、昨年も全国的に介護事業所の過去最多の倒産が生じています。そこで、神奈川ネットワーク運動・座間市民ネット介護保険プロジェクトでは、昨年9~10月、在宅の暮らしを支える市内37の訪問介護と通所介護(=デイサービス)、小規模多機能居宅介護事業所に対し実態調査を依頼しました。

処遇改善のための加算申請は厳しい状況

この間の国の介護従事者への処遇改善策は、主に加算申請方式がとられてきました。全国的には*¹最高加算率のⅠが45.7%にもかかわらず、調査では最上位のⅠは5%、次のⅡが86%、Ⅲが9%であり、市内では最上位申請*²がかなり難しい状況となっています。

また、訪問介護事業所のみに対する処遇改善申請については、全国的に*¹申請は58.0%であり申請しにくいものとなっていますが、今回の調査でも未申請が4割を超え、申請した事業所は比較的取りやすいⅡとなっています。小規模事業所、加えて介護度の低い要支援の利用者を多く受け入れている事業所においては、重い介護度条件となる申請のⅠやⅢは申請が難しく、調査においても申請はありませんでした。以上のことから、加算方式による処遇改善が実質的な賃上げにつながっているとは言えない状況です。

人材確保と事業所継続には基本報酬のアップが必至!

増加する単身の高齢者世帯が2050年には4割を超えるといわれており、住み慣れた地域で暮らし続けられる在宅サービスの継続が必要です。在宅サービスは施設サービスに比べ介護保険財政も抑えることができ、在宅サービスの継続にむけて、制度の改善とともに国の制度改定を待たずして自治体としての支援も求められます。

今回の調査では、低い介護報酬単価の要支援の利用者を受け入れない事業所もある一方で、回答事業所の6割で要支援の利用者を受け入れていることがわかりました。また、3割強の事業所が赤字であり、9割において人材確保には基本報酬の増額が必要とのことでした。加算方式の処遇改善は介護従事者への給与に充てることから事業所の体力は弱まり、人材不足から経営継続が厳しい状況が見られました。

必要なのは基本報酬の引き上げです。そして、その財源にこれ以上の利用者負担を増やすのではなく、国の負担割合を増やすよう検討すべきです。また、2024年改定において基本報酬を引き下げられた訪問介護事業の窮状に対し、新潟県村上市や世田谷区、品川区等では、訪問介護の基本報酬引き下げ分の補填や介護事業所への助成を行っているように、自治体の支援が市民の介護サービスを守ることにつながります。

 

市議会への陳情は採択!! 市長への要望書提出するもさらに働きかけを継続

この調査を共に取り組んだ市民グループ「ざまの明日の介護を考える市民の会」では、基本報酬の増額、訪問介護の基本報酬引き下げ解消、国費負担割合の引き上げ、訪問介護における移動支援・経営安定支援を国に求めること、市での訪問介護の基本報酬引き下げ分への助成の検討を求めて、12月議会に陳情を提出、12月22日の議会最終日の採決では、意見書は全会一致の賛成、市への陳情は議員21人中20人の賛成でともに採択されました。

また、市長へは要望書を提出し意見交換を行い、介護事業所の窮状を訴えて、支援の検討を要望しました。議会の陳情採択を受け、特に市内訪問介護事業所への支援が実施されるよう、働きかけを続けていきます。

*¹厚労省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果概要」より

*²処遇改善加算の加算率

介護職員等処遇改善加算 〈訪問介護 例)
区分 加算率(%) 要件
24.5 % Ⅱ+Ⅲ+Ⅳ+経験技能職員を一定割合配置
22.4 % Ⅲ+Ⅳ+職場環境の更なる改善、見える化。賃金440万円/年以上が一人以上
18.2 % Ⅳ+資格や勤続年数等に応じた昇給のしくみ
14.5 % 賃金体系等の整備・研修の実施。職場環境の改善